キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給までのプロセスを再確認してみましょう。
「(1)申請前の準備」については、前回までの記事で注意点を述べました。
その次は「(2)計画申請」になりますが、このプロセスには特に難しい点はありません。
計画申請の様式は厚労省のサイトからダウンロードができます。
また、パンフレットには以下のような記入例が掲載されていますので、それを参考に計画書を作成し労働局またはハローワークに提出することになります。
計画書提出後は、「(3)転換規定の整備」を行うことになります。
具体的には、就業規則に「有期雇用社員から正社員への転換規定」を追加し、従業員数が10人以上の企業は労基署に届出けなければなりません。
ここでの注意点は二つあります。
一つ目は「転換規定には、時期と手続きを含めることが必須」だということです。
キャリアアップ助成金に関するQ&Aのp.21には「面接試験や筆記試験等の適切な手続き、要件(勤続年数、人事評価結果、所属長の推薦等の客観的に確認可能な要件・基準等)及び転換時期を必ず規定する必要があります」という記載があります。
安易に、「本人が希望する場合は、正規雇用に転換させることがある」などの、簡潔な規定を設けた場合は不支給になります。
なので、この点については、パンフレットの例に倣って規定化するのが最も確実です。
二つ目の注意点は、『「有期雇用社員を正社員として採用した場合には、試用期間は設けない」という規定を、就業規則の試用期間の関する条項に追加しなければならない』ということです。
パンフレットでは、p.18の「正規雇用労働者の定義」の欄に、その点が明記されています。
(下図の※部分になります。)
最後に、「正社員転換の手続き」に関する注意点を追加します。
一般に、手続きとして用いられることが多いのは「面接試験」です。
例えば、就業規則に「所属長の推薦のある者に対し、面接試験を実施し、合格した場合について採用することとする」という規定を追加する会社が多いと思います。
ここでの注意点は「面接試験の記録を残すことが大事」ということです。
キャリアアップ助成金の支給申請をすると労働局が審査することになります。
そのプロセスで労働局から面接記録の提出を求められることがあります。
面接記録が無かったり、後付けで作成したものを提出した場合には、不支給となるリスクがあります。
最近はキャリアアップ助成金(正社員化コース)は、不支給になるケースが非常に増えています。
なるべく隙のない準備を行うことが大事ですね。
面接記録票の例をつくってみましたので、ご参考にしてみてください。
私は、以前にある大手生保会社の人事部に5年ほど在籍していました。
当時に使っていた面接シート等を参考に、作ってみたものです。
(ご参考)
キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給するためには、上記したようないくつかの注意点があります。
最近は、注意点をおろそかにしたために不支給になるケースも急増しているようです。
そこで、お客様のお役にたつよう、注意点等を整理した資料を作ってみました。
ご関心のある方はご覧になってみてください。