キャリアアップ助成金(正社員化コース)については、正社員の定義についても注意点があります。
まず、厚労省パンフレットの該当部分を引用してみましょう。
2年前の10月に新しく導入された要件は、上の引用部分の2行目にある『ただし、「賞与または退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限る。』という箇所です。
これを分かりやすく解釈すると「キャリアアップ助成金(正社員化コース)の世界での正社員とは、昇給がありかつ賞与または退職金がある人に限定される」ということになります。
最初はとても違和感がありました。
中小企業の中には「賞与は業績次第である。払えるかどうかわからない」という考え方から、正社員の就業規則であっても「賞与は支給することがある」という趣旨の規定にしている会社も多いと思います。
しかし、そのような規定では、この助成金の世界では正社員とみなされません。
また、ある会社では賞与という用語ではなく「利益分配金」という名称を就業規則で使っていました。
しかし、この名称では「利益が出ないときは支払わない」と解釈されてしまう恐れがあります。
そこでキャリアアップ助成金(正社員化コース)の計画申請のまえに「賞与」という用語を用いるように就業規則を変更しました。
この助成金の要件を満たす規定の例は、パンフレットのp.31に示されています。
このように、昇給および賞与については「原則として行われる(支払われる)」という趣旨の規定になっていることが求められます。
例えば、昇給について「会社が必要と判断した場合には、会社は、賃金の昇降給その他の改定を行う」などの条件付きの規定の場合は支給対象外となります。
また、賞与についても「賞与は支給しない。ただし、業績によっては支給することがある。」・「賞与の支給は会社業績による。」といったように、原則として賞与を支給することが明瞭でない場合は、支給対象外となってしまいます。
これらの点を計画書提出前に確認して、必要な場合は就業規則の修正を行うことが重要だと言えます。
(ご参考)
キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給するためには、上記したようないくつかの注意点があります。
最近は、注意点をおろそかにしたために不支給になるケースも急増しているようです。
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