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キャリアアップ助成金(正社員化コース)① ~ 有期雇用社員の定義

キャリアアップ助成金(正社員化コース)に関する企業からの照会は今でも多いですね。
例えば、
「ハローワークに相談にいったところ、正社員と有期雇用社員の定義が大事だと説明された。
でも、よく分からないので、どうしたら良いか教えて欲しい。」
といった質問です。

そこで、今日から何回かに分けて、この助成金に関する記事を書いてみようと思います。
まず、今日は有期雇用社員の定義について説明をしてみます。

最初にこの助成金の受給までのプロセスを図にしてみます。
厚労省のパンフレットにも「受給までの流れ」が載っていますが、分かり難いので自分なりに作り直してみたものです。

この助成金を受給するためには、計画書提出前に就業規則を整備しておくことが大事です。
その段階で、正社員と有期雇用社員の定義を就業規則で明確にすることが重要です。
上の図では「(1)申請前」に当たるプロセスになります。

さて、有期雇用社員の定義について、キャリアアップ助成金パンフレットのp.18では次のように説明しています。

この資料も、狭い部分に多くの情報が詰め込まれているので、とても読みにくいですね。
私なりにこの部分から、キャリアアップ助成金の対象となる労働者の要件を整理してみると、以下の3点に集約されます。

この用件を満たすためには、「正社員と有期雇用社員を包含する一つの就業規則の中で、正社員と有期雇用社員の賃金の仕組みを書き分ける」ということも考えられます。
でも、この方式は分かり難いですね。
したがって、労働局の審査担当者の負担を考えれば、「有期雇用社員の就業規則は、正社員のものとは別に作成した方が良い」と考えています。

なお、有期雇用社員の就業規則は作っていないという会社も多いですが、私はここまで述べた理由から、「なるべく作った方が良い」と助言しています。

また、有期雇用社員の就業規則の作り方としては、
①正社員の就業規則を丸ごとコピーした上で、必要な修正を行う
②市販のテキスト等を用いて作成する
「厚労省が公表している有期雇用労働者のモデル就業規則」を基に作成する
などの方法がありますが、私がお客さんにアドバイスする時は①か③をお勧めしています。

では、有期雇用社員の就業規則を作成することを前提にした場合、「賃金の額または計算方法が正規雇用労働者と異なる」ことを明確にするには、どのような規定にすれば良いのでしょうか?
いくつか例を考えてみましょう。

まず、「正社員は月給、有期雇用労働者は時給の場合」を考えてみましょう。
この場合は問題ありませんね。
誰がみても、違いははっきり分かります。
この場合の賃金に関する規定の例は、以下の通りです。

悩ましいのは、正社員も有期雇用社員も月給制の場合です。
フルタイムの有期雇用社員の場合は、契約社員という位置づけで月給制の場合が多いと思います。
このような場合に、正社員と有期雇用社員に差があることを示すには、就業規則でどのように規定すればよいでしょうか?
このようなケースで考えられる方式としては、以下の二つがあります。