業務改善助成金の制度内容を厚労省リーフレットを基に整理すると、
①事業場内の最低賃金(事業場内で最も低い時間給)を一定額以上引き上げるとともに、
②生産性向上に資する設備投資等を行った
③中小企業・小規模事業者に対し、
④その設備投資等に要した費用の一部を助成する
ということになります。
ただし対象となる事業者の要件として、以下の二つを満たすことが必要です。
ⓐ中小企業・小規模事業者であること
ⓑ事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差が50円以内であること。
次に、助成金額は、以下の㋐㋑のうち、いずれか低い方の額となります。
㋐設備投資費用に助成率を掛けた金額
㋑助成上限額
ここで、特に注意が必要なのは、引き上げる労働者数のカウントです。
厚労省のリーフレットでは、以下のように説明しています。
▶事業場内最低賃金である労働者
▶事業場内最低賃金である労働者の賃金を引き上げることにより、賃金額が追い抜かれる労働者が「引き上げる労働者」に算入されます。
(ただし、いずれも申請コースと同額以上賃金を引き上げる必要があります。)
リーフレットには図も載っていますので、ご紹介しておきましょう。
これでもまだ分かり難いですね。
そこで、例を使ってご説明します。
(1)認められる例
この例の場合、事業場内で最も賃金額が低いのはCです。
しかし、Cは雇入れから3月を経過していません。
そのため、事業場内最低賃金の労働者はAとなります。
Aの賃金を1,100円まで引き上げるので、BとCの賃金も1,100円以上まで引上げる必要があります。
上の表の通り、全労働者の賃金が1,100円まで引き上げられましたので、業務改善助成金受給の要件は満たしています。
ただし、Bの引き上げ幅は、Aの引き上げ幅を下回っていますので、引き上げる労働者には参入されません。
この例では、「申請コースは45円コースで対象は2人」ということになります。
(2)認められない例
この例の場合、事業場内で最も賃金額が低いのはCです。
しかし、Cは雇入れから3か月を経過していません。
そのため、事業場内最低賃金の労働者はAとなります。
Aの賃金を1,100円まで引き上げるので、BとCの賃金も1,100円以上まで引上げる必要があります。
上の例では、BとCはAの引き上げ後の賃金を下回っていますので、業務改善助成金の要件を満たしません。
(ご参考)
今回の記事でもお分かりになると思いますが、業務改善助成金の仕組みには分かり難い部分があります。
分かりやすさを意識して、特に重要なポイントを整理した資料を用意してありますので、ご関心のある方はご覧になってみてください。