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ベアを織り込んだ初任給見込額を求人要項に載せても良いか?

2025年4月入社者に対する採用活動がそろそろ活発になる時期ですね。
政府の要請を踏まえると、標準的なスケジュールは以下の通りとなります。

物価上昇により今年度は久しぶりにベースアップを行う企業が多いと思います。
初任給もベアで上がりますが、採用に関する広報解禁日の3月1日には、ベアの労使交渉が済んでいない企業が大半でしょう。
そのために上記のような疑問が出るのだと思います。

結論をいえば「虚偽や過大でなければ初任給の(ベア後の)予想額を提示する」ことには問題はありません。
求人の際に提示する情報は「あくまで労働条件の目安」でしかありませんので、多少変動することは、当然にありうることですね。

なお、厚労省のHPにこのテーマに関するQ&Aが掲載されています
引用してみましょう。
「労働基準法第15条には、労働条件の明示が定められていますが、この条文で言う労働条件の明示とは労働者個々人に対して書面で明示される労働条件のことです。つまり、求人誌やハローワークに掲載されている求人票はあくまでも募集の際に提示する労働条件の目安であり、労働基準法第15条で定める労働条件の明示には該当しません。  なお、ハローワークに掲載されている求人票の条件と実際の条件が異なる場合は、まずはハローワークにご相談ください。」

また、この問題に関連する判例も参考になります。
この事案で裁判所は判決理由で以下の通り述べています。
本件求人票に記載された基本給額は「見込額」であり、文言上も、また次に判示するところからみても、最低額の支給を保障したわけではなく、将来入社時までに確定されることが予定された目標としての額であると解すべきであるから、控訴人らの右主張は理由がない。
すなわち、新規学卒者の求人、採用が入社(入職)の数か月も前からいち早く行われ、また例年四月ころには賃金改訂が一斉に行われるわが国の労働事情のもとでは、求人票に入社時の賃金を確定的なものとして記載することを要求するのは無理が多く、かえって実情に即しないものがあると考えられ、《証拠略》によれば、労働行政上の取扱いも、右のような記載を要求していないことが認められる。」

当然の判断だと思いますね。
以上の情報を踏まえると、採用を予定している企業は、「(虚偽や過大ではない範囲であれば)初任給の見込額を提示」しても、問題ありません。