Categories
ナレッジ

業務改善助成金 ~ 令和7年度の変更点(その1)

業務改善助成金とは簡単に言えば、「事業場の賃金引上げをしたうえで、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、設備投資費用の一部を助成する」というものです。
助成割合は賃金の引き上げ幅と対象従業員数、および事業場内の最低賃金額で決まってきます。
ここ数年、最低賃金の大幅な引き上げが続いていることもあり、中小企業経営者のこの助成金に対する関心は非常に高くなっています。

さて、この助成金に関する令和7年度の交付要綱・要領が4月9日に公開されていますので、今回は「業務改善助成金についての、令和6年度からの主な変更点」をご紹介してみたいと思います。

【変更点1】事業主単位の年間申請上限額を設定(600万円)

この助成金の申請は「事業場」単位で行うことができます。
なので、違う場所に複数の事業場(簡単に言えば、「支社」・「工場」・「支店」など)があれば、それぞれで交付申請を行うことができます。
ただし、令和7年度は「事業主単位で600万円まで」という上限が設定されてしまいました。

昨年までは「事業場ごとに最大600万円の助成金が支給」されましたが、今年は「事業主が同一の事業場を通算して600万円まで」ということになります。
なお、この点は「交付要領」に以下の通り明確に記載されています。

(出所)「中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)交付要領」(厚生労働省)

【変更点2】申請期間と賃金引き上げ期間の設定

令和6年度はこの助成金の交付申請(計画の申請)は、期限内(当初は「12月27日まで」と設定された)であればいつでも行うことができました。
しかし、令和7年度は以下の通り、申請期間と賃金引き上げ期間が設定されています。

(出所)「令和7年度業務改善助成金の一部変更のお知らせ」(厚生労働省)

申請期間が設定された趣旨は不明です。
ただ、上の表によると「第3期以降にも募集が行われるかどうかは未定」ですので、この助成金を検討されている企業は早めの申請が望まれますね。

なお、第2期の申請期間および賃金引き上げ期間の期限が「申請事業場に適用される地域別最低賃金改定日の前日」とされています。
ここで地域別最低賃金改定日の令和6年度の実績は、厚労省のHPに掲載されていますのでご確認をお願いします。
東京や神奈川は10月1日が改定日ですので、昨年並みであれば業務改善助成金の第2期の申請や賃上げの期限はその前日の9月30日ということになります。