最近は、来年の賃上げに関するニュースが多くなってきました。
例えば、高市早苗首相は11/25に就任後初の政労使会議を開いています。
経団連会長・商工会議所会頭・連合会長なども出席した会議の場で、高市首相は「賃金上昇率が5%を超えた24年や25年と遜色ない水準の賃上げへの協力」を求め、「価格転嫁の徹底や中小企業の成長投資支援など、賃上げの環境整備に取り組む」と表明しています(下図参照)。

また、日銀は12/19に0.25%の追加利上げを決定しましたが、背景には「しっかりとした賃上げが実施される可能性が高い」ために「賃金と物価がともに緩やかに上昇していくメカニズムは、維持される可能性が高い」という認識があります。
日銀の公表資料では「賃金を巡る環境を整理すると、労働需給は引き締まった状況が続いているほか、企業収益は、関税政策の影響を加味しても、全体として高い水準を維持することが見込まれる。こうしたもとで、春季労使交渉に向けた労使の対応方針や日本銀行の本支店を通じたヒアリング情報等を踏まえると、来年は、今年に続き、しっかりとした賃上げが実施される可能性が高く、企業の積極的な賃金設定行動が途切れるリスクは低いと考えられる」と述べています。

他にも組合単位や企業単位での賃上げに関するニュースも最近は増えていますね。
・サービス連合、賃上げ6%要求へ 2年連続で過去最高水準
・大和証券G、賃上げ5%検討 初任給も31万円に引き上げ
また、中小企業の賃上げ動向については、12/11に商工中金が「(速報版)中小企業の賃上げの動向について」というレポートを公表しています。
なお、このレポートの調査対象は商工中金の取引先中小・中堅企業で、回答に応じた企業の数は2,216社となっています。
さて、このレポートによれば、2026年の定期給与・時給の引上げについての計画を集計した結果は以下の通りです。
・全体の59.1%の企業が「全従業員について引き上げる」と計画
・全体の13.3%の企業が「一部従業について引き上げる」と計画
・「増減なし」という計画の企業は全体の9.8%
定例給与・時給引上げについての実績見込と計画

また、定期給与・時給の引上げ率の計画については、以下のようになっています。
・5%以上の引き上げを計画している企業の割合は全体の17.5%
・4%の引き上げを計画している企業の割合は全体の11.2%
・3%の引き上げを計画している企業の割合は全体の29.8%
・2%の引き上げを計画している企業の割合は全体の18.3%
定例給与・時給引き上げ率の実績見込と計画

上の図によると、引上げ率に関する2026年計画の平均は3.03%となっており、2025年計画の2.90%よりも増加しています。
2025年の実績平均が3.35%と計画の2.90%を0.45%も上回ったことを踏まえると、2026年の中小企業における賃上げは少なくとも2025年並の水準となる可能性が高いと推測されます。