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令和8年度の業務改善助成金 ~ 厚労省の概算要求より(その1)

やや古い情報になりますが8月末に厚労省が「令和8年度予算概算要求」を公表しており、その中では来年度の助成金に関する概算要求内容も記載されています。
「助成金を利用したことのある企業」や「今後に利用してみたい企業」にとっては、来年度の制度内容の見直しが気になることと思います。
そこで、今回から何回に分けて、概算要求から伺える来年度の助成金について確認してみます。

まずは、業務改善助成金です。
助成内容は「事業場の賃金引上げをしたうえで、生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、設備投資費用の一部を助成する」というものです。

ここ数年、最低賃金の大幅な引き上げが続いていることもあり、中小企業経営者のこの助成金に対する関心は非常に高くなっています。
実際、厚労省の資料によると利用件数も大幅な増加傾向が続いています。

業務改善助成金の利用件数(全国合計)

(出所)厚生労働省資料

上の表にあるように令和4年度の5,672件から令和6年度は約3倍の17,616件まで増加しています。
中小企業の経営者にとっては、ぜひとも利用を検討したい助成金だと思います。

さて、この助成金は「最低賃金・賃金の引上げに向けた中小・小規模企業等支援」をする観点から、令和8年度も継続し、予算も拡充される方向です。
ただし、制度内容の一部見直しが予定されています。
概算要求書によると「4コース制の賃金引上げ額を3コース制に再編」とのことです(下図参照)。

業務改善助成金に関する概算要求

政府は2020年代中に「最低賃金の全国平均1,500円」達成を目指しています。
2025年度の最低賃金は全国平均で1,121円ですから、目標達成のためには2026~2029年度に毎年7%前後(約80円) の引上げを続けることが必要です。

最低賃金(全国平均)の推移

(出所)独立行政法人 労働政策研究・研修機構HP

政府の方針や人手不足の現状を踏まえると、中小企業であっても最低賃金を継続的に引き上げることは避けられないでしょう。
その際には、業務改善助成金を始めとした国の支援制度を上手に活用することが非常に重要だと考えます。
令和8年度の賃上げにむけて、業務改善助成金の活用を強くお勧めします。