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キャリアアップ助成金(正社員化コース) ~ 支給申請時に就業規則の不備があった場合

キャリアアップ助成金は受給のための要件が厳しく、特に就業規則については支給要件に合致した内容に整備することが求められます。

しかし、就業規則に関する支給要件を正しく理解することは簡単ではありませんから、「支給申請の段階でハローワークの担当者から不備を指摘されてしまう」ということも当然に起こり得ます。

特に、「過去にキャリアアップの受給経験がある企業で、3年前(2022年)の10月に行われた支給要件の見直しを知らない会社」では、上記のような事態が起こります。
「前は大丈夫だったのになぜ今回はだめなのか?」ということですね。

なかでも、「正社員転換の6か月前から(支給要件を満たす)有期社員就業規則の適用を受けていなければならない」という要件が問題になります。

有期社員については就業規則は作らず雇用契約書で対応している企業は多いです。
そういう企業がキャリアアップの支給申請書を提出した時に「有期社員就業規則がないのは不備。しかも正社員転換の6ヶ月前から必要」とハローワークで指摘されても、(普通に考えれば)どうしようもありません。
支給申請は正社員転換後6か月たってからですから、その時点からみると12ヶ月前に遡って就業規則の整備をしなければなりません。

私もそのようなケースに直面した企業からのご相談を昨年は2回受けました。
最初は
●就業規則を遡って作成することはできない。
●したがって、今回のケースはあきらめた方が良い。
●この次の人から申請したらどうか
とお答えしていました。

しかし、問い合わせてきた企業の方と話をすると
●ハローワークの担当者は、「整備された就業規則を提出してくれればよい」と言っている。
●「10人未満企業なので、労基署への届出は不要。申立書を合わせて提出してくれればよい」と言われた。
とのことです。

それならばということでダメモトの積りでサポートをしました。
支給申請の結果を気にしていましたが、最近になって1社の方からお礼のメールを頂きました。
無事に初回分を受給できたとのことです。

ハローワークの担当者が、このように柔軟な対応をしてくれた理由はよくわかりません。
特別に親切な担当者だったのかもしれませんし、あるいは労働局内での方針なのかもしれません。

いずれにせよ、キャリアアップ助成金であってもこのような柔軟な対応の余地はあることは、喜ばしいことだと考えます。