キャリアアップ助成金(正社員化コース)には、「加算額」の制度があります。
正社員転換制度を初めて導入した場合には20万円が加算になり、多様な正社員制度(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)を初めて導入した場合には40万円が加算になります。

多様な正社員制度の中で、お客様からの照会が多いのは「短時間正社員制度」の利用についてです。
例えば飲食店を経営されている方が、「優秀なバイトを正社員にして戦力化したい。ただ、本人の都合で1日5時間勤務が条件となる」といったケースです。
飲食店ですので、「特に忙しい時間帯の要員として、短時間正社員を活用する」ことは、合理的ですね。
しかも、キャリアアップ助成金の要件を満たせば、「80万円+40万円(重点支援対象者の場合)」の120万円を受給することができます。
今回は「多様な正社員制度を導入してキャリアアップ助成金を受給する場合の注意点」を整理してみましょう。
「短時間正社員制度を導入して助成金を受給する」ために、特に重要な点は以下の2点です。
①短時間正社員の定義が助成金の支給要件に合致することを、就業規則で明確にすること。
②短時間正社員の賃金や賞与が助成金の支給要件に合致することを、就業規則(賃金規程)で明確にすること。
キャリアアップ助成金のパンフレットでは、助成金の支給対象となる短時間正社員を以下の通り定義しています。

キャリアアップ助成金の支給を審査する労働局の審査官は、企業から提出される就業規則を確認することで、「短時間正社員制度が上記の要件に合致しているかどうか」を判断します。
したがって、助成金を支給申請する企業が、就業規則に短時間正社員制度に関する規定を盛り込む際は、上記の定義に注意することが必要です。
特に、分かり難いのは「賃金や賞与に関する規定をどのように書けばよいか?」という点ですね。
この点についても、キャリアアップのパンフレットには例示が載っていますので、参考にしていただければと思います。

なお、実際の就業規則の変更方法については、現行の規定と整合性をとる必要があります。
修正方法について疑問がある場合は、当事務所までご照会いただくようお願いします。
(ご参考)
キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給するためには、「助成金の支給要件に合致するように就業規則を修正しなければならない」などのいくつかの注意点があります。
令和6年度の審査状況をみても、注意点をおろそかにしたために不支給になるケースが数多く発生していました。
そこでこのHPでは、お客様のお役にたつよう、注意点等を整理した資料をご提供しています。
この度、令和7年度版の資料を新たに用意しましたので、ご関心のある方はご覧になってみてください。