厚労省からキャリアアップ助成金(正社員化コース)の令和7年度資料(リーフレット、パンフレット、Q&A等)が公開されています。
前にも投稿しましたが、最も人気のあるこの助成金に関して、令和7年度は大きな変更が行われています。
今日の記事では、主な変更点を確認してみます。
【変更点1】重点支援対象者以外は支給金額が半減(80万円→40万円)
この助成金の受給を検討している企業にとって最も大きな影響の出る変更点は、「重点支援対象者以外は支給金額が、昨年から半減(80万円→40万円)」になってしまうという点です。

上の表にあるように、重点支援対象者は従来通りの「40万円×2期」で80万円の助成金が支給されます。
ここで、重点支給対象者とは、以下の条件に該当する人になります。

昨年までは「新規に有期雇用労働者として人を採用し、6ヶ月間雇用した時点で正社員に転換した場合」でも「40万円×2期」で80万円の助成金を受給できました。
今年度は、そのようなケースでは40万円しか受給できません。
私がお付き合いのある中小企業の中にも「有期雇用労働者として採用した人を6ヶ月間雇用した時点で正社員化してきた」ところがありますし、同様の手法で今年度の正社員化を予定している会社もあります。
そのような会社の場合は、「少し助成金受給の予定が狂ってしまった」という感じになりますね。
【変更点2】新規学卒者は支給対象外
見直し内容は以下の通りです。
なお、新規学卒者とは「卒業年度の3月31日までに内定を得た人」のことを言います。

キャリアアップ助成金のQ&Aによると、この見直しの趣旨は「新規学卒者を、本来正規雇用労働者として雇い入れることができるにもかかわらず、有期雇用労働者として雇い入れ、6か月経過後に正社員転換を実施し、助成金を支給申請するといった、本助成金の趣旨と離れた活用例があるとの指摘があることを踏まえたもの」ということです。
制度の趣旨からすると当然の見直しだと思いますし、昨年までも「正社員として募集を掛けた人を、あえて有期雇用労働者として雇い入れ、6か月経過後に正社員転換した」というケースは、労働局の審査で不支給という決定になっていたはずです。
ただ、去年までの対応では曖昧な部分が残るので、ルールを明確にしたものと思われます。
【変更点3】キャリアアップ計画書の取り扱いを簡素化
去年まではキャリアアップ計画書について「労働局長の認定」が必要でした。
しかし、今年から簡素化され「労働局長の認定は不要。取組開始の前日までに計画書を提出すればよい」というルールに代わりました。
企業側にとっては計画書の準備が楽になったと言えそうです。
(ご参考)
キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給するためには、「助成金の支給要件に合致するように就業規則を修正しなければならない」などのいくつかの注意点があります。
令和6年度の審査状況をみても、注意点をおろそかにしたために不支給になるケースが数多く発生していました。
そこでこのHPでは、お客様のお役にたつよう、注意点等を整理した資料をご提供しています。
この度、令和7年度版の資料を新たに用意しましたので、ご関心のある方はご覧になってみてください。